W-chinken活動レポート Vol.2 〜今後の賃貸管理業態(分業化)への提言〜
賃貸オーナー様、賃貸管理会社の皆様へ
謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
新年 明けましておめでとうございます。
昨年末に産声をあげた弊研究所ですが、日増しに皆様のご賛同の声をいただき、ご支援の輪が広がっていくのがひしひしと伝わってまいります。
あらためて、皆様のご厚情に対し厚く御礼申し上げます。
昨年は、国の内外において政治情勢が目まぐるしく変化した一年であったかと思われます。2017年上期は昨年度の第二次補正予算による効果が現われ景気を押し上げることを期待されますが、今だ構造的課題である少子高齢化問題による世帯数の推移が2019年をピークにいよいよ減少傾向に転じるといわれています。我々の賃貸不動産業界においては、県内に目を向けると新築着工戸数は、核家族化や単身世帯の増加により微増推移をしておりますが一方、大手住宅メーカーなどでは住宅ストックの活用に軸足を移していく施策が見られます。国の生活基本計画の中、整備されつつある中古住宅流通市場において賃貸管理を行う上今後はいかに優れたサービスを考えることが重要となってきます。
皆様の賃貸不動産経営の安定的成長と発展を実現するため積極的な提案を行ってまいります所存ですので、本年も変わらぬご支援、ご愛顧を賜りますよう何卒よろしくお願いいたします。
年頭に当たり皆様のご健勝とご発展を祈念いたしまして新年のご挨拶とさせていただきます。
平成29年1月
わかやま民間賃貸不動産問題研究所
所長 大久保 和夫
今後の賃貸管理業体(分業化)への提言(その2)
5.IT化・システム化
業務進捗管理 営業(売上)進捗管理 顧客管理 |
↓
状況(情報)の共有による効率化 |
・各種業務時間を短縮出来る機械かシステムの活用
・ベンダー(業者)の組織化
6.管理委託契約書の明文化
契約書の作り方一つで生産性や効率が変わる
↓
自社が意図する管理内容を実現する為に、しっかり作り込む必要がある |
管理業務の内容と金額の明確化
金銭が発生する事項については、予め料金表などを明記する
オーナーよりの受領分
入居者よりの受領分…事務手数料(引落手数料)、車庫証明発行手数料、入居者負担修理代
※オーナーの承諾なく実施するとトラブルの原因となる
オーナーとの予想されるトラブルの事項の記載
- 原状回復(解約精算)
- 入居者審査内容
- 緊急時対応
- 直接取引の禁止
- 募集方法
※1、2、3の裁量を管理会社が持つことを記載
戸建、分譲賃貸用契約書を準備する
7.「管理経理業務」の精度が要
役割としては、オーナー、入居者、銀行、工事業者等と日常的に密接に関連しながらの業務である
↓
建物管理、家主対応、入居者対応という管理の側面と併せて考える必要があり、極めて重要な役割である |
※管理業務のあらゆる情報を集約する「データ収集・処理」基地であることからスムーズに運営していくことが管理全体の効率化の要となる
収集データ | 新入居者の入居データ・契約情報 途中契約内容変更データ 退去データ(解約精算書・工事伝票) |
新規管理…物件情報・家主、入居者データ |
処理データ | 家主…家賃送金、解約精算、立替支払精算 |
入居者…家賃集金、解約精算 | |
業者…工事業者、電力会社・水道局など |
ポイント1:「締め日や期日を必ず守る」
データが期日迄に遅れず、管理経理に集約出来るよう現場が徹底する ↓ 1件でも期日に遅れると後工程の全体に影響がで、スムーズな流れが滞り始める |
ポイント2:「イレギュラーをつくらない」
個別ルールの管理物件が増えると、管理運営が複雑となり ミスやトラブルが度々発生する ↓ コストアップにつながる(人員の増強など) |
8.「仲介」か「管理」か
賃貸仲介の中でも「業物を主に仲介している会社」と「管理物件や家主直一般物件を主に仲介している会社」では意味が全く違ってくると思われる
前者はあくまでも「仲介会社」であり、後者のなかでも特に「管理物件を仲介」している場合は、「賃貸管理業務」の中の一つをこなしていることになる
現場の仲介店舗の営業マンにとって、お客様が気に入って仲介した物件が業物なのか管理物件なのか、それほど大きな違いは無いでしょうが会社にとっては、ビジネスモデルが180度違うという意味になります
◯業物の仲介で目標達成を目指していても、いつまでたっても「管理物件」は増えないでしょう
◯管理委任して頂いているオーナーと、頂いていないオーナーへのサービスの差が明確になってこなくなる
「仲介ビジネス」か「管理ビジネス」か
経営者が会社をどういう方向へ持っていくつもりなのか
スタッフに明確にする時期が近付いていると思います
仲介ビジネスの動向
・年々、仲介件数が伸びない → マーケットの縮小傾向
・手数料単価の減少 → 家賃の値下がり傾向
・ネットによる集客競争の激化
・コンプライアンスの難易度が上がる
↓
付帯商品販売の比重拡大 現場の業務負荷があがる 個人情報の取り扱いに細心の注意が必要 |
仲介と管理の垣根はいらない
仲介か管理か、担当を分けているが、これから先、世帯数減少の流れの中、仲介単体では件数の確保は難しい。又、一方で空室が増え続けていく時流の中、仲介にそっぽを向かれている管理は、家主離れが加速するでしょう。
長期空室物件や事故物件の入居対策は、仲介と管理が共に考えなければ難しい。
その時垣根などがあっては、最良のアイデアなど出るわけがない。
日々のクレームを知る管理 + 案内した時の感想を直接聞いている仲介 |
・グローバル化に伴う外国人対策
・高齢化の将来戦略
・提案力の勝負(家賃を下げるのか、設備を強化するのか、リフォームするのか、売るのか)
9.年間スケジュール(事業計画)を立てる
選択と集中 |
優先順位 |
納期と品質の設定 |
※「何をやるのか」の前に「何故やるのか」を考える
「全部やる」は戦略ではない
やるべきことが列挙されているだけでは駄目 「全部やる」のではなく「一番やるべき課題」を絞る ↓ 選択と集中 |
「全部出来ない」潔く「やらない事」を決める
すぐに出来そうな事はすぐやり、時間がかかる事は後に回す ↓ 優先順位 |
「納期」と「ゴール数字」だけまず決める
実行計画でいきなり、リフォーム提案、オーナーセミナー等 「打ち手」を書いては駄目 ↓ まずは「納期」と「ゴール数字」を明確にする 例)9月迄に入居率90% |
一番優先する事は何で、いつまでにどの水準までにするのか? 「あれもやる」「これもやる」 では、出来もしない事だらけの方針(計画書)になってしまいます ↓ 毎月のチェックポイントを決める 例)誰が!いつまでに!何を!どうやって! 目的が明確になれば「手段-打ち手」はぶれずに出せる |
重点となるべき課題の納期とゴール数の話をしているのか 「その実現の為の有効な打ち手の議論」をしているのか考えて出来る様になる |